ドローンを仕事にすることを考えた時に「資格」の取得は重要となります。
求人の要件に資格の取得を条件になっていることは少ないですが、やはりドローンという仕事として急速に成長を続ける中で、資格は知識や技術を証明する上で有効となります。
ドローンの知識や操縦技術を学ぶことはどこでもできますが、いざ働こうと思った時にそれらを証明するのは難しいものです。
そういった部分でも資格があればスムーズに自分の能力を相手に伝えることができるようになります。
今回はドローンに関する資格の1つ「無人航空従事者試験(ドローン検定)」について紹介していきます。
どのような資格なのか、資格取得に関して試験内容や取得に向けた対策方法なども詳しく解説していきます。
ドローン検定の概要
まず、「無人航空従事者試験(以下:ドローン検定)」の概要について解説します。
「ドローン検定」公式サイト
https://drone-kentei.com/index.html
「ドローン検定」は、無人航空機(ドローン)の普及や他分野での活用に即して、ドローンを操縦する上で必要となる適切な知識や技術を客観的に評価するために実施されている試験です。
ドローン検定協会が実施している民間資格で、ドローンの操縦技術や知識のみならず、ドローンに関連する法律の知識や飛行のための許可申請に関する知識までカバー範囲となっています。
「ドローン検定」は2015年6月に第1回のプレテストが行われ、同年9月に第1回試験が実施されました。現在までに24回もの検定試験が実施されており、毎回1000人以上の受験者が試験を受けます。
ドローン検定は1級〜4級に分かれており、現在までの認定者数(平成31年1月31日時点)はこのようになっています。
級 | 認定数 |
1級 | 1846人 |
2級 | 3350人 |
3級 | 11200人 |
4級 | 627人 |
直近に行われた第24回ドローン検定(2019年7月)では、1200人が受験し、924人が合格しました。合格率は77%といったところです。
受験資格や受験料はこのようになっています。
級 | 受験資格 | 受験料(税込) |
1級 | ドローン検定協会主催 ドローン検定2級取得者 | 18000円 |
2級 | ドローン検定協会主催 ドローン検定3級取得者 | 12000円 |
3級 | どなたでも受験可能です | 5500円 |
4級 | どなたでも受験可能です | 3000円 |
出題範囲はドローンの基礎知識から始まり、物理学や工学、気象学、ドローンの専門知識、法令までが含まれます。試験は全て筆記で行われ、各設問4択のマークシート方式です。
1問2点で全50問、100点満点中80点以上で合格となります。
各出題範囲の詳細については以下のようになっています。
大項目 | 中項目 | 1級 | 2級 | 3級 | 4級 |
基礎知識 | 用語 | ○ | ○ | ○ | ○ |
動作 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
組織 | ○ | ○ | |||
制度・国際情勢 | ○ | ○ | |||
単位 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
三角関数 | ○ | ○ | ○ | ||
物理学 | 力学 | ○ | ○ | ○ | |
熱力学 | ○ | ||||
流体力学 | ○ | ||||
電磁気学 | ○ | ||||
工学 | 航空工学 | ○ | ○ | ○ | ○ |
材料工学 | ○ | ||||
流体工学 | ○ | ||||
電気電子工学 | ○ | ○ | |||
無線工学 | ○ | ||||
気象 | 気象学基礎 | ○ | ○ | ○ | ○ |
航空気象学 | ○ | ○ | |||
専門知識 | 機体構造 | ○ | ○ | ○ | ○ |
姿勢制御 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
バッテリー | ○ | ○ | ○ | ○ | |
送信機 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
GNSS | ○ | ○ | |||
リスク | ○ | ○ | |||
責任・保険 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
飛行計画 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
法令 | 無人航空機関係 | ○ | ○ | ○ | ○ |
電波関連 | ○ | ○ | ○ | ○ | |
刑事民事その他 | ○ |
一覧で見るとわかりやすいですが、4級試験でもドローンの基礎知識だけではなく、航空工学や気象学、法令についての理解が求められます。入り口としても、ドローンに関連する知識を大まかに習得することができるでしょう。
試験の流れ
試験の流れについて解説します。
まず、「検定試験の申し込み」をしなければなりません。これはドローン検定公式サイトの右上にある「受験案内(受験申込)」から行います。
「受験案内(受験申込)」
https://drone-kentei.com/place.html
こちらで受験要項などを確認し、試験を受ける会場とどの級を受験するかを決め、必要事項を入力すれば申込みが完了します。
申込みが完了したら、指定の期日までに受験料を入金します。入金後、受験票が郵送で届きます。
試験の実施日に会場に行き、試験を受けます。必要な持ち物は「筆記用具(鉛筆)、消しゴム、受験票」です。
試験終了から10日ほどで合否確認の通知が郵送されます。合格すれば、「合格証」が発行され、手元に届きます。
ドローン検定を取得するメリット
次に、ドローン検定を取得するメリットについてまとめていきます。この資格を取得することによってどのような効果が見込めるのでしょうか。
公式サイトでは、ドローン検定取得のメリットとして次のようなことを挙げています。
- 国土交通省への許可承認申請時に操縦者の資格について証明書を添付できます
- 基礎技能講習(国交省認定)を受講する際に座学1(4時間)が免除されます
- ドローンの安全な活用に必要な最低限の知識を確実に身に着けることができます
- 自己(自社)PRにつながります
- 合格者のみが参加できるQ&Aコミュニティサービスに参加できます(一般の方は閲覧のみ可)
- 飛行ログサービス(オンラインで飛行経歴を管理できる機能)を使用できます
- ドローン検定に合格した証であるロゴを名刺やホームページに記載していただけます
- 提携団体等における各種講習の受講資格を得られます
- 提携団体等における各種講習における座学が免除されます
- ドローン検定オリジナルグッズを購入できます
まず、ドローンを飛行させる際に「国土交通省」の許可が必要なケースがあります。
このような場合に、ドローン検定を取得していると「無人航空機に関する飛行履歴・知識・能力を有することの証明書」を発行することができます。
こちらの証明書を利用すれば、国土交通省への許可申請もスムーズに行うことができるようになります。
また、ドローン検定は主にドローンに関連する「知識」を問う専門試験ですが、この他にもドローン操縦の技術を問う「ドローン検定操縦技能講習」というものもあります。
ドローン検定を取得することによって、この技能検定である「基礎技能講習」を受講する際の座学が免除となります。
また、その他の技能試験においても、ドローン検定の取得が受験資格として設定されていることが多くあります。
そして、ドローンを安全に活用するための知識を確実に身につけることに加えて、これらの能力を企業への自己PRとして利用できます。資格として知識を証明するわかりやすい形として機能します。
「飛行ログサービス」というのも目立ちませんがかなり便利です。ドローンを飛行させた際のログを保存することができ、これによって飛行中にエラーが発生した際の確認やバッテリー消費量などもチェックできます。
これらのデータはドローンのメンテナンスに役立ちますし、機体の不調を未然に確認することで事故の防止にも繋がります。
ドローン検定に向けての勉強方法
ドローン検定の勉強方法について解説します。新しい分野の資格でも専門的な勉強が必要となるでしょう。それぞれの出題範囲を別々に勉強するのは少し効率が悪いかもしれません。
ドローン検定協会では、ドローン検定の公式テキストが販売されています。
これらのテキストブックを利用すれば出題範囲を効率よく勉強することができます。ドローン検定の取得を目指す方はぜひ購入してください。
ドローンは資格がなくても楽しめる物ですが、一歩間違えば事故を引きこし、場合によっては凶器になってしまう可能性もあります。
安全に楽しくドローンを飛行させるためにも、趣味レベルであってもドローン検定を受験し、必要な基礎知識を学習しておくといいでしょう。
また、ドローンを仕事にする上では、ドローンに関する広範な知識を確実に理解しているプロフェッショナルでなければなりません。そのような中で、ドローン検定の取得は必須と言ってもいいでしょう。ドローン検定を取得していれば、ドローンに関連する知識があると明確に証明することができます。
民間資格でドローンを飛ばすのに取得義務があるわけではありませんが、趣味でも仕事でも取得を目指して損はないでしょう。
2020年に実施されるドローン検定の試験実施日
最後に、2019年、2020年に実施されるドローン検定の試験実施日をまとめておきます。
【2020年】
1月26日(日)15:00〜
3月22日(日)15:00〜
5月24日(日)15:00〜
7月26日(日)15:00〜
9月24日(木)15:00〜
11月22日(日)15:00〜
気になる方は試験を受けてみてください。
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