航空法イメージ

ドローンと航空法の関係

ドローンを飛ばす際に、注意しなければならないこととして、法律や条例によって禁止されている場所で飛行しないことが挙げられます。
最近でも、無許可でドローンを飛ばしたために、航空法違反で逮捕された事例がありました。

広い場所だからといって勝手にドローンを飛ばしていると、突然警察に捕まることも考えれます。
趣味でドローンを飛ばす上でも、ドローンに関する法律は確認しなければなりません。職業としてドローンを扱うなら尚のことです。

今回はドローンに関する法律のうち「航空法」を細かく解説していきます。
ドローンを仕事にしようと考えている方は、しっかりと理解しておきましょう。

ドローンに関係する航空法の条文

 

「航空法」というのは、民間の航空機の安全や航空機の航行による障害を防止するために作られた法律です。
ドローンは、法的には「無人航空機」という扱いになるため、当然ながら航空法が対象とする「航空機」に含まれます。

ドローンに関する飛行ルールについて「航空法」への内容が施行されたのは、2015年です。ちょうど日本でドローンが流行り始めて、トラブルなども生じ始めた時期ですね。
ドローンを飛ばす上で、どのような場所、場面において飛行が禁止されているのか細かくチェックしなければなりません。

まずは、航空法の条文を実際に確認していきましょう。条文については、オンライン上で法律の条文が確認できる「e-Gov」というサービスがあるので、そちらを利用します。

「e-Gov」
https://www.e-gov.go.jp

「航空法」の条文に関しては以下のURLから確認できます。

「航空法条文」
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=327AC0000000231_20170530_428AC0000000051&openerCode=1#I

それでは、ドローンに関する重要な条文を見ていきます。航空法では第九章に「無人航空機」に関する記載があります。

航空法 第九章 無人航空機 第百三十二条

「何人も、次に掲げる空域においては、無人航空機を飛行させてはならない。ただし、国土交通大臣がその飛行により航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全が損なわれるおそれがないと認めて許可した場合においては、この限りでない。」
「一 無人航空機の飛行により航空機の航行の安全に影響を及ぼすおそれがあるものとして国土交通省令で定める空域
二 前号に掲げる空域以外の空域であつて、国土交通省令で定める人又は家屋の密集している地域の上空」

 

ドローンの飛行禁止空域および、許認可が必要である場合に関する条文です。

航空法 第九章 無人航空機 第百三十二条の二

「無人航空機を飛行させる者は、次に掲げる方法によりこれを飛行させなければならない。ただし、国土交通省令で定めるところにより、あらかじめ、次の各号に掲げる方法のいずれかによらずに飛行させることが航空機の航行の安全並びに地上及び水上の人及び物件の安全を損なうおそれがないことについて国土交通大臣の承認を受けたときは、その承認を受けたところに従い、これを飛行させることができる。
一 日出から日没までの間において飛行させること。
二 当該無人航空機及びその周囲の状況を目視により常時監視して飛行させること。
三 当該無人航空機と地上又は水上の人又は物件との間に国土交通省令で定める距離を保つて飛行させること。
四 祭礼、縁日、展示会その他の多数の者の集合する催しが行われている場所の上空以外の空域において飛行させること。
五 当該無人航空機により爆発性又は易燃性を有する物件その他人に危害を与え、又は他の物件を損傷するおそれがある物件で国土交通省令で定めるものを輸送しないこと。
六 地上又は水上の人又は物件に危害を与え、又は損傷を及ぼすおそれがないものとして国土交通省令で定める場合を除き、当該無人航空機から物件を投下しないこと。」

ドローンの飛行が禁止される場所や、飛ばす際の条件、禁止行為などについて書かれています。

航空法が定める無人航空機(ドローン)に関する禁止行為などを定めた条文は以上のようになっています。最低でも、これらの条文は確認しておきたいところです。

そして、加えて、これらの法律に違反した場合の罰則についても紹介しておきます。

航空法 第九章 無人航空機 第百五十七条

「次の各号のいずれかに該当する者は、五十万円以下の罰金に処する。
一 第百三十二条の規定に違反して、無人航空機を飛行させた者
二 第百三十二条の二第一号から第四号までの規定に違反して、無人航空機を飛行させた者
三 第百三十二条の二第五号の規定に違反して、無人航空機により同号の物件を輸送した者
四 第百三十二条の二第六号の規定に違反して、無人航空機から物件を投下した者
(立入検査の拒否等の罪)」

このように航空法に違反するようなドローンの使用をした場合、罰金が科せられるので、注意しておきましょう。

以上がドローンに関して覚えておくべき「航空法」の内容となります。ただ、法律の条文をそのまま読むと、硬い文章でもあるので、少し理解が難しいかもしれません。
なので、これらの条文を読んだ上で、もっとわかりやすく禁止行為についてまとめていきます。

ドローンに関する飛行ルール

法律イメージ

2015年に航空法が改正されたことをきっかけに、ドローンの使用に対するルールの認知化図るため、国土交通省は改正航空法が定めるドローンに関する飛行ルールをわかりやすく表現したPDFを公表しています。

「国土交通省 無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の安全な飛行に向けて!」

http://www.mlit.go.jp/common/001110369.pdf

これを使って、ドローンに関して航空法が定める飛行ルールを整理していきます。
まず、「飛行禁止空域」についてです。航空法では「第百三十二条」で触れられていた内容
になります。
航空法では、以下のような空域での無人航空機の飛行を禁止しています。

・空港周辺
・150m以上の上空
・人家の密集地域

「空港周辺」・「150m以上の上空」に関しては、航空法が定める「航空機の航行の安全に及ぼすおそれのある空域」に該当します。
「密集地域」というのは、わかりやすいようで基準が曖昧ですが、これについては「国土地理院」が提供する「地理院地図」というものから確認できます。

「地理院地図」
http://maps.gsi.go.jp/#8/34.928727/136.796265/&base=std&ls=std%7Cdid2010%7Cdid2015&blend=00&disp=111&lcd=did2015&vs=c1j0h0k0l0u0t0z0r0s0m0f0&d=vl

この地図上で赤くなっている部分が「人口集中地区」となっており、ドローンの飛行が禁止されます。

次に、禁止されるドローンの「飛行方法」を見ていきましょう。航空法では「第百三十二条の二」に記載されている内容です。
航空法では、以下のような方法での飛行が禁止されています。

・日中以外での飛行
・目視の範囲外での飛行
・人や物からの距離が30m以内での飛行
・催し場所での飛行
・危険物などを輸送しての飛行
・無人航空機からの物件の投下

航空法で規定されている飛行方法に関する6つの条件をそのまま紹介しています。
条文での基準が曖昧だったのが「人や物とドローンの距離」でしたが、これについては、「30m」という基準が設けられています。

これらの条件をクリアしていることを確認した上で、ドローンを飛行させるようにしてください。

ここまでの内容はドローンなどの無人航空機の飛行ルールに関する解説となりました。ただ、ここで気になるのは、この法律が該当するドローンはどこからどこまでなのかという点です。

航空法に当てはまらないドローン

トイドローン

実は、この航空法ですが、全てのドローンに当てはまるわけではありません。一部例外となる機体もあります。

それについては、国土交通省のホームページを一度確認しましょう。

「飛行ルールの対象となる機体」
http://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000040.html
このページによると、無人航空機の定義として以下のような記載がなされています。

「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの(200g未満の重量(機体本体の重量とバッテリーの重量の合計)のものを除く)」

一般的なドローンはこちらに当てはまりますが、注目すべきは機体の重量です。
200g未満のものを除く」とあります。ドローンの中には、「トイドローン」というジャンルの商品もあり、200g未満の機体が多くあります。
そのため、200g未満のドローンに関しては、航空法の対象外となります。

ただ、ドローンを仕事にしようと思ったら、トイドローンだけというわけにはいかないと思いますので、確認の必要性は変わりませんし、航空法以外にもドローンを規制する法律はあり、そちらに関してはトイドローンでも対象になる場合もあるので注意してください。

国土交通省への許可申請

航空法が定める飛行ルールから外れた利用をする場合、国土交通省への許可申請が必要となります。ドローンを仕事にする場合、普通だと飛ばせない場所でドローンを飛ばすこともありますし、許可申請の機会も必ず出てきます。

申請の方法については以下から確認できます。

「許可・承認の手続きについて」
http://www.mlit.go.jp/koku/koku_fr10_000042.html

主な内容としては、飛行開始予定日の10日開庁日前までに申請書類の提出が求められます。申請後、審査が行われます。
審査に時間を要すケースも考えられるため、時間には余裕を持って申請をした方がいいでしょう。

申請方法は「郵送」「オンライン」の2つがあります。
スムーズな申請ができるように、一度確認しておきましょう。

 

航空法に関する最新情報

最後に、航空法の運用に関する最新情報を国土交通省が公表しているので、そちらのページも確認してください。

「無人航空機の飛行ルール 最新情報」
http://www.mlit.go.jp/koku/koku_tk10_000003.html

具体的なイベントでの飛行禁止の告知やその他情報が載っています。

 

 

ドローンの飛行に関わる法律の1つ「航空法」についてまとめていきました。

法律を理解するとなると、少しややこしいイメージを抱いてしまいますが、これに関しては、非常にシンプルなルールとして整理できるので、まとめて理解しておきましょう。

ドローンを仕事にする上で、禁止行為の理解や許可申請のやり方、最新情報など、知るべき情報は数多くあるので、それらを確実に把握しておきましょう。

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