注意すべき法律【小型無人機等飛行禁止法】

ドローンを飛ばす上で注意しなければならないこととして、「法律や条例の遵守」が挙げられます。

ドローンは法律や条例などによって飛行が規制されている物でもあり、禁止されている場所で飛ばした場合、罰則などを受けることもあります。

悪意はなくても、法律を知らないだけで逮捕されるような事例もありますし、ドローンを遊びで使うときはもちろんのこと、仕事としてドローンを扱う場合は確実に理解しておかなければなりません。

ドローンの飛行を禁止する法律には、さまざまなものがあります。

今回はその中の1つ「小型無人機等飛行禁止法」を紹介していきます。

どのような内容の法律で、ドローンに対してどのような規制がかけられているのか、そして、法律を破った場合の罰則規定なども理解していきましょう。

国の重要施設におけるドローン飛行を禁止する法律について

飛行禁止法のイメージ

「小型無人機等飛行禁止法」というのは、通称として呼ばれている法律で正式名称は異なります。

正式には「国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行の禁止に関する法律」という名称の法律で長いので「小型無人機等飛行禁止法」と略称されています。

法律の名称からみても、国会議事堂や内閣総理大臣官邸、外国公館といった国の重要施設におけるドローン飛行を禁止する法律となっています。

この法律は、2015年に首相官邸でドローンが墜落した事件を受けて、テロ犯罪などへの対策として2016年に制定されました。

法律としての位置付けとしては、一般的な施設や地域に対するドローンの飛行制限については「航空法」によってルールを定め、それ以外の重要な施設については「小型無人機等飛行禁止法」によってカバーされているというイメージです。

また、「小型無人機等飛行禁止法」は令和元年5月17日に改正法が成立しており、5月24日に公布されました。

改正点も踏まえても、改めて法律の条文などを確認しておく必要があるでしょう。

それでは「小型無人機等飛行禁止法」の実際の条文を確認していきましょう。

条文を見ることで法律の内容を詳細に理解することができます。

条文については、オンライン上で法律の条文が確認できる「e-Gov」というサービスがあるので、そちらを利用します。

「e-Gov」
https://www.e-gov.go.jp

「小型無人機等飛行禁止法」の条文は以下のURLから確認できます。
https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=428AC1000000009

ただし、こちらの条文は最終更新が平成28年3月18日となっているので、

改正点については警視庁のサイトを確認しながら解説していきます。

「警視庁 小型無人機等飛行禁止法関係」
https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/index.html

それでは「小型無人機等飛行禁止法」の重要となる条文をみていきましょう。

小型無人機等飛行禁止法 第一条 (法律の目的)
「この法律は、国会議事堂、内閣総理大臣官邸その他の国の重要な施設等、
外国公館等及び原子力事業所の周辺地域の上空における小型無人機等の飛行を禁止することにより、これらの施設に対する危険を未然に防止し、
もって国政の中枢機能等及び良好な国際関係の維持並びに公共の安全の確保に資することを目的とする。」

⭐︎この法律の大きな目的が書かれています。
重要施設での小型無人機などの飛行を禁止する法律であることが示されています。

小型無人機等飛行禁止法 第二条の一 (法律の対象となる施設)
「この法律において「対象施設」とは、次に掲げる施設をいう。(以下略)」

⭐︎第二条には、小型無人機などの飛行が禁止される施設が列挙されています。

①国の重要な施設等として次に掲げる施設
国会議事堂、内閣総理大臣官邸、内閣総理大臣・内閣官房長官の公邸、
対象危機管理行政機関、最高裁判所の庁舎、対象政党事務所
②第五条第一項の規定により対象外国公館等として指定された施設
③第六条第一項の規定により対象原子力事業所として指定された施設

小型無人機等飛行禁止法 第二条の三 (小型無人機の定義)
「この法律において「小型無人機」とは、飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他の航空の用に供することができる機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦(プログラムにより自動的に操縦を行うことをいう。)により飛行させることができるものをいう。」

⭐︎この法律では、小型無人機に含まれる機体のうち、ドローンの重量規定は設けていません。

「航空法」の場合、200g未満の機体は規制の対象外になっていますが、
こちらの法律では重量制限がなく、全てのドローン(トイドローン)も含めて、法律の規制対象となるので注意しておきましょう。

小型無人機等飛行禁止法 第二条の五 (「小型無人機の飛行」の定義)
「一 小型無人機を飛行させること。
二 特定航空用機器を用いて人が飛行すること。」

小型無人機等飛行禁止法 第五条の一、第六条の一 (外国公館、原子力事務所などの施設)
「外交関係に関するウィーン条約第一条(i)に規定する使節団の公館、領事関係に関するウィーン条約第一条1(j)に規定する領事機関の公館及び条約において不可侵とされる外国政府又は国際機関の事務所並びに別表に定める外国要人(以下この条において単に「外国要人」という。)の所在する場所のうち、第一条の目的に照らしその施設に対する小型無人機等の飛行による危険を未然に防止することが必要であると認めるものを、対象外国公館等として指定することができる。」

「国家公安委員会は、原子力事業所であってテロリズムの対象となるおそれがあり、かつ、その施設に対してテロリズムが行われた場合に、広域にわたり、国民の生命及び身体に甚大な被害を及ぼすおそれのあるものとして政令で定めるもののうち、第一条の目的に照らしその施設に対する小型無人機等の飛行による危険を未然に防止することが必要であると認めるものを、対象原子力事業所として指定することができる。」

小型無人機等飛行禁止法 第八条の二 (法律の適用外について)
「一 対象施設の管理者又はその同意を得た者が当該対象施設に係る対象施設周辺地域の上空において行う小型無人機等の飛行
二 土地の所有者若しくは占有者(正当な権原を有する者に限る。)又はその同意を得た者が当該土地の上空において行う小型無人機等の飛行
三 国又は地方公共団体の業務を実施するために行う小型無人機等の飛行」

「小型無人機等の飛行を行おうとする者は、国家公安委員会規則で定めるところにより、あらかじめ、その旨を当該小型無人機等の飛行に係る対象施設周辺地域を管轄する都道府県公安委員会に通報しなければならない。」

小型無人機等飛行禁止法 第十一条 (罰則について)
「第八条第一項の規定に違反して対象施設及びその指定敷地等の上空で小型無人機等の飛行を行った者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
第九条第一項の規定による警察官の命令
(同条第三項において準用する同条第一項の規定による皇宮護衛官又は海上保安官の命令を含む。)
に違反した者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。」

以上が「小型無人機等飛行禁止法」条文で重要となる部分になります。

飛行が禁止される場所から、法律が適用外となるケース、そして違反した場合の罰則規定までドローンを仕事にする以上は必ず押さえておきましょう。

東京オリンピック・パラリンピックなどの開催に対して追加された「小型無人機等飛行禁止法」の項目とは?

東京五輪ロゴ

次に、2019年5月17日に改正された「小型無人機等飛行禁止法」について解説していきます。

以上の内容に踏まえて、これからG20やラグビーワールドカップ2019、

2020年東京オリンピック・パラリンピックなどの開催に対して、追加された項目がいつくかります。

改正法のポイントとしては、法律によって小型無人機等の飛行が禁止される施設の項目が増やされています。

以上の内容に加えて改正法では、

・防衛大臣が指定する対象防衛関係施設
・国土交通大臣が指定する対象空港

での飛行が禁止され、ドローンなどを飛ばすには第八条に記載されている許可申請が必要となります。

また、法律に違反して小型無人機を禁止区域で飛行させた場合の権限についても規定されています。

警察官等は、本法の規定に違反して小型無人機等の飛行を行う者に対し、機器の退去その他の必要な措置をとることを命ずることができます。
また、一定の場合には、小型無人機等の飛行の妨害、破損その他の必要な措置をとることができる。」

飛行禁止区域についても改正法によって更新がされています。
https://www.npa.go.jp/bureau/security/kogatamujinki/pdf/map.pdf

こちらには飛行禁止の対象となる施設が示された地図を見ることができるので確認しておきましょう。

飛行禁止区域でドローンを飛ばす場合の許可申請の方法

申請のイメージ画像

次に、これらの区域でドローンを飛ばす場合に必要となる許可申請の手続きについてみていきましょう。

まず、条文では飛行にあたって「都道府県公安委員会への事前の通報」が求められます。

具体的な内容としては、警察署を経由して通報し、「飛行の48時間前まで」に通報書を提出する必要があります。

また、通報時には「実際に飛行させる小型無人機等の提示(または写真)」が必要となります。

ドローンに関わる仕事をする以上は、法律や条例に関する知識は必須となります。

コンプライアンスの観点からはもちろんのこと、そういった知識がない人に安心して仕事を依頼することはできないでしょう。

「小型無人機等飛行禁止法」は、一言でいえば、「国の重要施設における飛行の禁止」をまとめた法律になります。

どこが重要施設として規定されているのか、そして、許可申請の手続き方法などを確認しておきましょう。

また、これからG20や東京五輪など、国際的なイベントが開かれるため、飛行禁止の対象となる施設も増えていくことが予想されます。
最新情報を細かくチェックしていきながら、トラブルを未然に防ぐようにしておきましょう。

最新情報をチェックしよう!