ビジネスの現場で使われているドローンが全て人の手によって操縦されているわけではありません。
中には、飛行に関するプログラムを組み込んだ上で自動飛行させるというパターンもあります。
そういったドローンの活用で活躍するのが「ドローンプログラマー」。さまざまな現場で活躍することが期待されるドローンにおいて、操縦士としてだけではなくプログラマーとしても需要が高まることが考えられます。
今回はドローンに関連する仕事の1つ「ドローンプログラマー」について解説していきます。
ドローンとプログラミングの関係
まず、ドローンをプログラミングによって制御するとはどういったことを指すのかについて見ていきましょう。
一般的にドローンの操縦は手元のコントローラーによって行います。コントローラーの操作によって機体を上下左右に移動させたり、回転させたりなどさまざまな動きを実行します。
簡潔に言えば、こういったドローンの飛行中の挙動をプログラミングによって制御することを意味します。
有名な事例でいうと、人気グループ「Perfume」のライブパフォーマンスでドローンが活用された際に舞台上で飛行していたドローンはリアルタイムで操縦していたわけではなく、事前に組み込んだプログラムによって自動飛行しているものでした。
「第65回紅白歌合戦「Cling Cling」(2014)ノーカット版【Perfume×TECHNOLOGY】
」※YouTubeでしか再生できません
このように人の手ではなくプログラミングによるドローンの自動飛行を可能にするのがドローンプログラマーの仕事になります。
また、ドローンの自動飛行に関しては単に上下左右の移動を指示するだけではありません。ドローンの飛行中風などが吹いた際にもその場に安定して留まることができるようにしたり、障害物を自動的に検知して避けるようにしたり、飛行中に起こりうることを想定したプログラムが求められます。
さらには、フライトコントロールだけではなく、空撮した映像のライブストリーミングやセンサーによるデータ収集、分析といったドローンを飛行させた上でどういった作業を行うかという観点でもプログラマーの力が発揮されます。
ドローンを人の手で操縦する必要がなくなるため非常に効率的ですし、今後様々分野でドローンの自動飛行が導入されることを考えるとドローンプログラマーの需要はかなり高まっていくのではないでしょうか。
例えば、将来的に宅配便をドローンによって配送するサービスが検討されています。こちらもプログラムを組み込んだドローンを自動飛行させて荷物を届けるという形になるためプログラマーの力が必要です。
プログラミングによって荷物をどのようなルートで届けるのか、どこに帰還するのか、飛行中に起こりうるトラブルへの対処など、さまざまなシチュエーションを想定した上でプログラムを組み込む必要があります。
こういったプログラムを組み込んだドローンの自動飛行はさまざまなビジネスの現場で活躍することが期待されています。
例えば、ドローンを使った農薬散布の仕事を考えてみましょう。もちろん人の操縦によって農薬を散布することもできますが、農地の範囲や散布する農薬の量、飛行ルートなどをプログラムによって組み込んだドローンを自動飛行させれば効率的な農薬散布が可能となります。
ドローンを使った測量を行う場合、現場の3Dデータの画像処理やデータ収集、分析などが必要となりますし、ドローンの配達サービスであれば、飛行に関するプログラムだけではなくネットワークやサービスと関連したソフトウェアの開発も必須となるでしょう。
このようにドローンプログラマーはさまざまな現場で活躍する可能性が秘められており、その範囲はドローンの飛行に関することだけではなく、関連するネットワーク技術やアプリケーションなど、幅広い知識が求められるでしょう。
ドローンのプログラミングに使われる言語
ドローンプログラマーの仕事で使用するプログラミング言語として代表的なものは「C」「C++」「Python」などが挙げられます。アプリ開発や組み込み系の技術が必要となるので、これらの仕事を目指す人は必ずマスターしておかなければいけません。
また、ドローンメーカーからもドローンに関連した開発環境を提供しているところもあります。代表的なのがDJIの「MOBILE SDK」「Onboard SDK」「GUIDANCE SDK」です。これらによってフライトコントロールや通信技術などの開発に使用することができます。
また、これからドローンプログラマーを目指すという人は初心者でも簡単に使える「Tello」がおすすめです。
こちらはDJIとインテルの共同開発によって誕生したドローンで10,000円程度のリーズナブルな価格ながらも、さまざまな操作が実行できる機体となっています
。
さらに、MIT開発のコーディングシステム「Scratch」に対応しており、Telloをプログラミングによって飛行させることができます。コーディングなどの知識は必要なく、直感的にブロックを組み合わせる形でプログラムを行っていくので視覚的に分かりやすいですし、ドローンにおけるプログラミングの基礎を学習することができます。
そこから「Tello SDK」という高度な開発環境によってTello用のソフトウェアアプリを開発することもできます。
これ1台でドローンのプログラムの基礎から発展まで詳しく学ぶことができるので、将来的に仕事にしたいと考えている人におすすめです。
「Tello」
https://store.dji.com/jp/product/tello?vid=38421
さらに中高生向けにドローンプログラミングの学習教材が販売されています。
2020年からはプログラミング教育が小学校で必修かされる中で、プログラミングの必要性が高まっていきます。
それに合わせてドローンを使ったプログラミング学習教材がクオリティソフト株式会社からリリースされています。現在では40もの学校で購入されたという情報もあります。
ドローンを使って楽しくICT教育を行うというコンセプトのもとプログラムの基礎的な学習が行えます。
「クオリティソフト株式会社 ドローンビジネス」
https://www.qualitysoft.com/dronebusiness/
実際に学校でプログラミング学習の教材として使用されているものなので、ドローンプログラマーを目指す人はぜひチェックしてみてください。
ドローンプログラマーの今後
最後にドローンプログラマーの今後の展望についても触れておきます。
ドローンを飛行させる上でより高度かつ繊細な操縦ができるのはやはり人の手によるものかもしれません。
そのため景色などを撮影する空撮カメラマンに関してはまだまだ人の手による操縦がメインになることが考えられます。
しかし、今後さまざまな分野での活用が期待されるドローンについて、プログラマーの需要はどんどん高まっていくでしょう。
ドローンを使った宅配サービスでは1度に大多数のドローンを自動で飛行させる必要があります。
当然ながら1台1台を人の手で操縦するのでは非効率なので、プログラムを組み込んだドローンを飛行させることになります。
さらに、サービスに関連したネットワーク構築やアプリケーション開発もプログラマーの仕事になります。
ドローンがビジネスの現場で大規模的に導入されればされるほどドローンプログラマーの需要は高まっていくと考えられます。
プログラムを組み込んだドローンの開発は、人の手による操縦士よりも付加価値をつけることができ、ビジネスを行う上でも有効です。ドローンの仕事=操縦士だけではなく、ドローンを飛行させるためのプログラマーという仕事にも注目してみてください。