個人的な趣味から仕事まで幅広く使われている「ドローン」。そんなドローンの花形職業といえば「空撮カメラマン」です。
ドローンを仕事にしようと思った際には、まず最初に思いつく職業だと思います。そんな空撮カメラマンですが、どのような職業なのでしょうか。
どういった雇用形態で、どれぐらい稼げるのか、または空撮カメラマンになる手順はどうなっているのか。
空撮カメラマンを目指す方に役に立つ情報をまとめていきます。
空撮カメラマンの仕事とは?
ドローンといえば、動画サイトなどにアップロードされている魅力的な空撮映像が思い浮かびます。
あのようなクリエイター的な仕事を想像されている人も多いでしょう。
または、テレビ番組の一コマで、ドローンを使った空撮映像が使われているといったシーンも目にしますね。
▼ドローン空撮映像の一例-Youtube動画
一見すると空撮カメラマンは、華やかでクリエイティブな仕事内容が想像できますね。
もちろん空撮カメラマンの仕事にそのようなものが含まれていることは事実です。しかし、実際の空撮カメラマンはもっと幅広く活動をしています。
ドローンによる空撮の活用としては、景色などを撮影して、映像を制作するといったことに止まりません。
ドローンには、例えば、建設現場などでの測量や安全管理などといった用途もあります。
そういった場面でも、ドローンを操縦して、指定の映像をカメラで撮影するという意味では、「空撮カメラマン」の仕事領域に該当します。
なので、「空撮カメラマン」という仕事は、漠然としたイメージで思い浮かぶ仕事よりも、幅広いことを請け負う職業であるといえます。
空撮カメラマンの雇用形態
次に、空撮カメラマンの雇用形態についてまとめていきます。空撮カメラマンを目指す上で、どのようなキャリアを形成していくかについて、重要な部分だと思います。
また、空撮カメラマンとして、どのような活動をメインにしていきたいのかについても関わってくるでしょう。
空撮カメラマンというと、「フリーランス」のイメージが強いかもしれません。
自己所有のドローンを使って、各地に赴き、自分でプロデュースをした空撮映像を撮影して、動画サイトやSNSにアップロードするという形です。最近では、個人でもそういった活動が容易に行えるようになってきています。
または、個人でクライアントから仕事を受注して、指定の空撮映像を撮影するといった業務もあります。
空撮カメラマンとしての実績やポートフォリオなどを使って、仕事を請け負い、クライアントのイメージする空撮映像を撮影するという形になるでしょう。
一方で、ドローンによる事業を展開している企業で働く「サラリーマン」的な働き方もあります。ドローン市場の需要が高まる中で、ドローンによる空撮映像を制作する会社も増えてきています。
そのような会社にドローンパイロットとして雇われ、会社が受注した案件にしたがって業務を進めていくというスタイルです。
雇用形態については、わかりやすく二分することができると思います。
仕事内容としても、大まかに分けるのであれば、「自分の作りたいものを作る」か「他者が作ってほしいものを作る」といった方向に分けることができます。
自分の作りたいものを作る
自分の作りたい空撮映像を制作する場合、当然ながら、魅力を伴った映像を作るための創造性が必要となります。
また、スケジュール調整や各種申請、作品の編集・公開、その他の事務作業なども含めて1人で行うことになるでしょう。
自由に作りたいものを作れる反面、キャリアを築くためには、作品を作るセンスや粘り強さ、1からノウハウを築き上げていく能力や、他のクリエイターとの差別化なども重要です。
キャリアとしては、ドローンの制作会社で勤務してからフリーになるという方が手堅いかもしれません。
他者が作ってほしいものを作る
他者の作ってほしい空撮映像を制作する場合、求められるのは、クライアントの要望を実現できるだけの操縦能力が重要となります。
クライアントの漠然とした要求であっても、ヒアリングを重ねながら、適切な形のものを納品する調整力であったり、スケジュール管理はもちろん、資料作成や営業といった業務にも関わっていくでしょう。
また、会社に勤める空撮カメラマンとしてのキャリアを積み重ねていく場合、最初は撮影現場などでも補助業務や各種手続きなど、下流工程から始めて行き、仕事を覚えることができます。
ただ、制作会社によっては、撮影業務をフリーランスに外注する場合も考えられるので、会社選びや職種などはよく確認しなければなりません。
空撮カメラマンの収入は?
次に、給与面を見ていきましょう。空撮カメラマンはどれぐらい稼げるのでしょうか。この部分は、ドローンを仕事にしようと考えている人には、かなり気になる項目かもしれません。
ただ、当然ながら雇用形態によって、給与面では幅が生まれているため、一概にどれぐらい稼げるのかというのは断定しづらい部分もあります。
有名な空撮カメラマンで、業界内でも地位のあるクリエイターであれば、フリーランスでもかなりの年収が期待できるでしょう。当然その逆も考えられます。
会社勤めの場合、企業規模などにも影響されますが、一般的な空撮カメラマンの求人では、年収350〜500万円といった範囲が観測できます。
ドローン市場が成長を続け、需要が高まっているように見えますが、年収自体はそこまで伸びていないといった印象です。
ここで1つの事例を紹介します。
「マスメディアン」という求人サイトで公開されていたドローンディレクター/プロデューサーの求人内容です。
https://www.massmedian.co.jp/actor_company/view/41926
ディレクター/プロデューサーという職種なので、実際に空撮を行うのは、別のパイロットだと考えられますが、こちらの求人の年収例としては400万円〜700万円が提示されています。
新卒の求人ではないので、結構現実的な年収になっていますね。空撮カメラマン自体は、フリーランスへの外注か、自前で空撮カメラマンを雇うケースのどちらかになると思いますが、どちらにせよめちゃくちゃ稼げるといえるのは、一握りの世界といえるでしょう。
需要自体は高まっているかもしれませんが、ドローンパイロットの供給量によっても影響を受けます。ドローンパイロットの数が増えれば、仕事を受注するのも難しくなっていきます。
空撮カメラマンは注目を集めている職業ではありますが、当然ながら競争もありますし、ビジネス的な感覚も重要となります。また、空撮カメラマンを専業とするのではなく、兼業でやっているような人もいます。ただ普通にドローンが操縦できるというだけでは、なかなか仕事に結びつきづらい部分もあるでしょう。
そのため、ドローンによる空撮カメラマンという職業を選ぶ場合、自身のキャリア形成やビジネス的な戦略を考える必要があるといえるでしょう。
ドローン空撮カメラマンへの道
次に、空撮カメラマンになるまでの道筋をまとめていきます。空撮カメラマンになるためには、どのような能力や資格が必要となるのでしょうか。
まず、ドローン操縦に関わる資格に関しては、国家資格と民間資格に分けることができます。
国家資格については「第4級アマチュア無線従業者免許」や「第3級陸上特殊無線技士免許」があります。
ドローンを操縦する上で無線を扱う場合には、電波法に則ったこれらの国家資格が必要になるでしょう。
ただ、使われている周波数帯によっては、これらの無線資格が必ずしも必要というわけではないので、必要に応じて取得することになります。
民間資格では、民間団体や社団法人などが発行しているものがあります。
主にドローンの基礎的知識や操縦技術を証明する資格となっており、代表的なものには「無人航空機従事者試験(ドローン検定)」「DPA操縦士資格」「JUIDAの操縦技能証明証」「DJI CAMPの認定資格」などが挙げれられます。
また、資格取得のためのドローンスクールも全国各地で開講されており、空撮カメラマンになるための知識や技術を身に付けることができます。
ただ、これらはあくまで民間資格であり、仕事にするうえで必須かと言われれば、そうではない部分もあります。
基本的にフリーランスとして作品を公開する形であれば、操縦テクニックや知識を自分で身に付けることで、活動をしていくことも可能ですし、空撮カメラマンとして仕事を受注する際にも、資格よりも腕前が重視されるでしょう。
あくまで空撮カメラマンになるための最低限のスキルを持っていることを証明するのが、これらの民間資格になります。もちろんこれらの資格があることで、名刺代わりにすることも可能です。
ドローンパイロットの安定的な育成を考えても、ドローンスクールや民間資格は重要な役割を果たしていますし、空撮カメラマンになることを考えれば、必要な技術や知識を効率的に身に付けるためにも有効だと考えられます。
空撮を依頼するクライアント側としても、コンプライアンスの観点からいえば、同程度のスキルがあるなら、資格保有者の方が発注しやすいとも考えれられます。
空撮カメラマンになる第一歩として、これらの資格取得、スクールの受講は選択肢として大いに役立つでしょう。
問題となるのは、そのあとです。操縦技術や必要な知識を身につけたのちに、仕事として空撮カメラマンの活動を始めていきます。
空撮カメラマンとして仕事をするためには、上記のような雇用形態、またはフリーランスとして活動することになるでしょう。
フリーランスの空撮カメラマンとして活動するのであれば、目を引くような空撮映像をネット上に公開して名前を売りながら仕事を受注していくという方向性も考えられるでしょう。
また、企業に属しながら、安定的に空撮カメラマンの仕事を受注することも可能です。
空撮カメラマンに必要な能力
最後に空撮カメラマンに必要な能力についてまとめていきます。空撮カメラマンに必要な能力は「操縦テクニック」 「調整能力」 「想像力」の3つが挙げられます。
操縦テクニック
操縦テクニックに関しては、ある意味当然ですが、単純な上から撮っただけのような空撮映像であれば、空撮カメラマンに外注する必要はそこまでありません。プロの空撮カメラマンに依頼しなければ撮影できないような映像を収めるためには、複雑な操縦技術が求められます。
また、操縦テクニックの幅が広ければ、撮影できる領域も自然と広がっていきます。自分にしかできない操縦技術による演出があれば、それ自体が空撮カメラマンとしての武器になるでしょう。
調整能力
次に、「調整能力」ですが、空撮映像を撮影するためには、撮影までにかなりの段階が必要となります。クライアントとの打ち合わせはもちろん、スケジュール調整、各種申請や許可、ロケハンなどの過程を経て撮影に望みます。その間、ドローンに関して、あまり知識のないクライアントにわかりやすく説明をしながら段取りを決めていきます。こういった作業を行うには、コミュニケーションに基づいた調整能力が不可欠となります。
ドローンを操縦するだけでは成り立たない職業であることは理解しておきましょう。
想像力
そして、「想像力」ですが、空撮映像を撮影するうえで、実際に自分の目で確認できる範囲には限界があります。その中で、映像全体の演出を考えながら、どのようなルートでドローンを飛ばせば、想像通りの映像になるのかといった部分は想像力によって補わなければいけません。この部分でもたついていると、撮影時間に影響を及ぼしてしまうことも考えられます。狙った演出をドローンによって再現する最適な操縦ができるかどうかという部分も重要となります。
職業としての空撮カメラマンについてまとめていきました。仕事としては、専業でやられている方もいれば、兼業で空撮カメラマンをやっているという人もいるでしょう。さまざまなことができる中での1つがドローンによる空撮というのであれば、ビジネスの幅を広げる上でも有効かもしれません。
空撮カメラマンというと、ドローンの代表的な仕事というイメージは強いですが、実際にどのようなルートを辿って、どのような活動をしていくのかは見えにくい部分もありました。これから市場が成長するに従って、育成や働き方の部分でも変化が及んで行くことも考えられますが、これから空撮カメラマンを仕事にしたいと考えているのであれば、これらの情報を参考にしてみてください。