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ドローンを道路で飛ばすには?道路交通法の規制を解説

趣味でドローンを飛ばすにしても、仕事としてドローンを扱っていく上でも、ルールを守って正しく使用することが求められます。

ドローンは法律や条例による規制を受けており、飛行場所などの禁止事項が細かく定められており、飛行に際して許可・申請などが必要なシチュエーションもあります。

法律や条例を知らずにドローンを飛ばした場合、罰則を受けることもありますし、逮捕される事例もあります。
ドローンを使う場合には、ドローンの規制に関する関連法を充分に理解しなければなりません。

ドローンに関する法律にはさまざまなものがあります。今回はその中でも「道路交通法」について取り上げていきます。自動車や自転車などのルールを定めている法律のイメージが強いですが、条文の中にはドローンに関する事項も含まれており、関連法として理解しなければなりません。

ドローンに関する道路交通法の規制

規制のイメージ

では、「道路交通法」によってドローンがどのような規制を受けているのかを学んでいきましょう。

今回の解説では、法律の条文をデータベース化しているサイト「e-Gov」を利用していきます。

(「e-Gov」https://www.e-gov.go.jp

法律の条文がそのまま記載されているので、条文を元に法律を理解していきます。

まず「道路交通法」は「道路における危険を防止し、その他の交通の安全と円滑を図り、及び道路の交通に起因する障害の防止に資すること」を目的としています。(道路交通法 第一条より)

この条文からもわかるように「道路交通法」というのは、道路上で生じるさまざまな状況に対して、リスクを防止するための法律であることがわかります。

自動車や自転車というのは、あくまで道路を利用する1つの主体であり、もちろん道路交通法の対象となるのですが、それだけが目的の法律ではないということです。

そして、第二条では「道路」に関する定義も行なっています。

道路とは、

「道路法(昭和二十七年法律第百八十号)第二条第一項に規定する道路、道路運送法(昭和二十六年法律第百八十三号)第二条第八項に規定する自動車道及び一般交通の用に供するその他の場所をいう。」(道路交通法第二条第一項)

少々わかりにくいですが、道路法の第二条第一項および第三条では、道路を「一般交通の用に供する道。高速自動車国道、一般国道、都道府県道、市町村道」となっています。
(道路法第二条第一項、第三条)

このような定義となっており、これらの道路上でのルールを定める法律であるということになります。

ドローンを飛ばすことを考えると、一般的には広い公園などがイメージされますが、ドローンの機体が道路の上空を飛行することを考えると、ドローンの飛行や離着陸に関しても、道路交通法が関わってくることが想像できます。

道路交通法の条文をドローンに当てはめる

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では、道路交通法で規定されているドローンに関わる部分を見ていきます。
関連するのは道路交通法第七十六条「禁止行為」についてです。

第七十六条第一項
「何人も、信号機若しくは道路標識等又はこれらに類似する工作物若しくは物件をみだりに設置してはならない。」

第七十六条第二項
「何人も、信号機又は道路標識等の効用を妨げるような工作物又は物件を設置してはならない。」

第七十六条第三項
「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない」

第七十六条第四項
「何人も、次の各号に掲げる行為は、してはならない。
一 道路において、酒に酔つて交通の妨害となるような程度にふらつくこと。
二 道路において、交通の妨害となるような方法で寝そべり、すわり、しやがみ、又は立ちどまつていること。
三 交通のひんぱんな道路において、球戯をし、ローラー・スケートをし、又はこれらに類する行為をすること。
四 石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。
五 前号に掲げるもののほか、道路において進行中の車両等から物件を投げること。
六 道路において進行中の自動車、トロリーバス又は路面電車に飛び乗り、若しくはこれらから飛び降り、又はこれらに外からつかまること。
七 前各号に掲げるもののほか、道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為」

条文の内容から、これらの行為が道路上で禁止されています。「ドローン」の文字は見られませんが、ドローンを扱う上での1つ1つの動作からこの条文を解釈していきます。

まず、「ドローンの離着陸」についてです。ドローンを道路上で離着陸させた場合、

「何人も、交通の妨害となるような方法で物件をみだりに道路に置いてはならない」

に抵触します。ドローンを道路上に置くだけで、交通の妨害となるのは明らかですね。

「石、ガラスびん、金属片その他道路上の人若しくは車両等を損傷するおそれのある物件を投げ、又は発射すること。」
こちらにも関わってくる可能性もあります。

次に「道路上でドローンを飛行させた場合」について考えていきます。
こちらについても「交通の妨害」という観点で見れば、これらの禁止行為に該当することは明らかでしょう。

道路又は交通の状況により、公安委員会が、道路における交通の危険を生じさせ、又は著しく交通の妨害となるおそれがあると認めて定めた行為

こちらが根拠になる可能性が高いです。
また、これに関しては「航空法」においても人口集中地区での飛行は禁止されています。

クライアントからの依頼でさまざまな場所からドローンを離着陸、飛行させるシチュエーションがあるでしょう。そのような場合には、「道路交通法」に関して、これらの内容に違反しないようにしなければなりません。

道路交通法の規制内でドローンを飛行させる場合の許可・申請

手続きのイメージ

次に、道路交通法で禁止されているような状況でドローンを飛行させる場合の許可・申請などについて解説していきます。

これについては道路交通法第七十七条に規定されています。

道路交通法第七十七条第一項
「次の各号のいずれかに該当する者は、それぞれ当該各号に掲げる行為について当該行為に係る場所を管轄する警察署長(以下この節において「所轄警察署長」という。)の許可(当該行為に係る場所が同一の公安委員会の管理に属する二以上の警察署長の管轄にわたるときは、そのいずれかの所轄警察署長の許可。以下この節において同じ。)を受けなければならない。」

そして、この条文が規定する行為の1つには、

道路交通法第七十七条第一項第四号
「道路において祭礼行事をし、又はロケーシヨンをする等一般交通に著しい影響を及ぼすような通行の形態若しくは方法により道路を使用する行為又は道路に人が集まり一般交通に著しい影響を及ぼすような行為で、公安委員会が、その土地の道路又は交通の状況により、道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要と認めて定めたものをしようとする者」

と定めています。

ドローンを使った撮影行為は、この「ロケーション」に該当します。そのため、その場所を「管轄する警察署長の許可」が必要となります。許可申請を行い、道路使用を認められた場合にのみドローンをその場所で使うことができます。

手続きや費用面を考えても、自分でやることもできますが、行政書士に代行してもらったほうがスムーズに行えるでしょう。

道路交通法に違反した場合の罰則

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次に、罰則規定についてもみていきます。
道路交通法第七十六条の禁止行為に違反した場合、該当する項目によって定められた罰則に処せられます。

第七十六条第一項、第二項について
「六月以下の懲役又は十万円以下の罰金」(第百十八条第一項第六号)

第七十六条第三項について
「三月以下の懲役又は五万円以下の罰金」(第百十九条第一項)

第七十六条第四項について
「五万円以下の罰金」(第百二十条第一項)

きちんとした罰則規定が設けられているので、ドローンを飛行する際には、道路交通法も理解しておかなければなりません。

ドローンに関する法律の1つ「道路交通法」について解説していきました。「航空法」や「小型無人機等飛行禁止法」など、ドローンを扱う上では覚えるべき法律や条例がたくさんありますが、トラブルを避けるためにも一度は目を通しておかなければなりません。

また、ドローンを仕事にするのであれば、最低限ドローンの規制に関する法律は知っておかなければなりません。違反行為を知らない業者に依頼したいと思うクライアントはいませんよね。

また、こういった違反行為に該当するような場所でドローンを飛行させる場合の許可申請についても頭に入れておきましょう。ドローンを使った仕事をする上で、数多くこなすことになる業務になるので、滞りなくできるようになっておきましょう。

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